祖父が建てた古いアパートに想う

私の家の南側には私の父名義のアパートが建っています。元々は祖父の所有だったものを父が相続したと思われますが詳しいことは話してくれません。

また、なぜ建てたのかについても祖父が30年以上も前に亡くなっているので今となってはわかりませんが、おそらく更地にしておくよりは建物を建てたほうが固定資産税の軽減措置が受けられるからだろうと私は思っています。

このことは私が3年前に取得した宅地建物取引士の勉強で学んだ知識です。アパートが建つ前は、木が自生し池には鯉が泳いでいるような広い庭があったと聞きました。

アパートは鉄筋コンクリート造り3階建てで1つの階に4部屋あって間取りは2Kで家賃は4万円、最寄り駅からは徒歩15分の物件です。

私が物心ついた頃にはもう既に建っていたので、かれこれ築40年は超えています。かつては3階×4部屋=12世帯全てに居住者がいましたが、今では古いのが災いして居住希望者がいないためわずかに1世帯が住んでいるだけです。

こうなってくると家賃収入よりも維持費のほうが高くなってしまいます。

一般的にアパート経営はローリスク、ローリターンと言われていますが、それはまだ建物が新しい段階での話であって、年数とともに次第に劣化してくるものなので、修繕費がかさみリスクは年々高くなっていきます。

また常に満室とは限らないので家賃収入も安定しているとは言い切れません。住民同士のトラブルの仲裁や家賃減額請求された場合など問題は様々な形で出てきます。

実際に住民が大家である祖父に対して怒鳴り込んでくる、といった光景を幼い頃の私は目の当たりにしたことがあります。

こうして考えてみると祖父がアパート経営に乗り出したことは不思議としか言いようがありません。孫にあたる私としては将来、負の遺産になるようなものを抱えたくないというのが正直なところです。

そんな思いも知らずに今日もアパートは陽光を浴びてその色あせた姿を見せています。